大きなご葬儀 ~圧倒された弔意

大きなご葬儀のお仕事を頂戴した。

大きな、という表現は漠然としているが、最近では本当に久しぶりの規模だ。

故人さまは、障害をお持ちになられる方々の教育に、生涯ご尽力をされた方だった。

 

当初ご家族さまのお話では、ご会葬のご人数が150~200、とのことだったが、正直内心(150オーバーはなかなかないだろうなあ)と思って準備を始めた。

ところが翌日のお打ち合わせで、故人さまのご関係者の方とのやりとりの中、300という数字が出てきて、準備をし直すことに。

ご人数が増えると、

式場のキャパシティ

お料理、返礼品の数

受付設備の充実

が問題となってくる。式場はおさえてしまっており、訃報もまわっているので変更不可。

あとはお料理と返礼品の数と同時に、お清めのお部屋も増やすことで準備を整えた。

 

お通夜当日。

多めに設けた記帳台も足りないほどのお客様でごった返す中、式は厳かに始まった。お焼香の香炉はマックスの6個で、お客様には大変申し訳ないが、三度抹香を押し頂かずに一回でお願いしますとアナウンスしながら、それでも長蛇の列はいつまでも途切れなかった。記帳のカードも足りずに追加した。

翌日の告別式にもだいぶお見えになり、結局両日で出た返礼品の数は560個をオーバーした。

560・・・。 本当に最近ではなかなか聞かないご人数だ。

あの斎場で、よく対応できたものだと我ながらほっと胸をなでおろした。

いや、対応できていなかったかもしれない。お帰りの際も、天候のせいもあるが、タクシーがなかなか来ず、大勢のお客様をお待たせしたりもしてしまった。

 

それでも葬儀社は仕事だから、大変だなんて言っていられない。一番大変なのはなんと言ってもご家族さまなのだから。それに、ご会葬者さまが多いというのは、故人さまのご人徳にほかならない。

 

弔辞が3本。心のこもった弔辞だった。何もご存知無い方fがその弔辞を聞いただけで故人さまの素晴らしい人間性や業績、社会に対する貢献度を窺い知ることができる、そんな内容だった。

それだけの方だから、ご出棺のお別れにも想定外の時間がかかる。差し迫るご火葬の時間。

出棺時間の遅れを何とかするのは葬儀社の腕の見せ所だ。

 

すごい、と思った。

お客様が付き合いとか代理で来られているご様子はなかった。

みなさん心から故人さまとのお別れに、悪天候のなか、本当の弔意でお見えになっていた。

死に様は生き様、と言われる。

この方のようなご人徳は、どうしたら身に付くのだろうか。

凡人である葬儀屋の親父にはわからない。

ただありがたいお仕事をさせていただいたと感謝するしかできない。