これでいいのかなあ ~役所で不思議に思うこと
葬儀社は、仕事でお客様の火葬許可証を取る手続き代行で、色々な市・区役所に行く機会が多いが、
いつも不思議に思うことがある。
人が亡くなると、病院から 『死亡診断書』 (検死が行われた場合は死体検案書)が発行される。
その大きさは大抵A3で、右半分が死亡診断書、左半分が死亡届となっている。
死亡診断書には、死亡者の氏名、直接死因、手術の有無、主治医の署名等が記載される。
左側の死亡届は、ご家族の方に記入して頂くのだが、内容は死亡者の氏名、生年月日、没年月日および
時間、死亡場所(死亡した施設の名前ではなく、住所。)、本籍地、戸籍の筆頭者名、婚姻の有無、その家の産業、届出人(記載者)の住所・本籍、生年月日、署名捺印といった内容だ。
ここで不思議①
主治医の署名の横に押印の箇所があるが、なぜかそこに医師の印鑑が無くても受理される。
ご家族が記入する左側の死亡届は、印鑑が無いと受け付けてくれないのに。
さて、記入を進めていくと、ご家族でも死亡者の本籍や、戸籍の筆頭者を知らないことが多く、
誤った記載をしたり、未記入だったりすることがよくあるのだ。
我々葬儀社の人間が手続き代行をさせていただく場合、そのままの状態で印鑑を預かり、提出に行く。
では、誤った内容や未記入の項目はどうなるのか。
提出して待つこと20分。番号を呼ばれてカウンターに行くと、ちゃんと火葬許可証が発行されている。
不思議②
未記入や誤記載があっても、なぜか火葬許可証は発行される。
役所の担当は、「記載内容が間違ってましたので訂正しておきました。本籍地は〇〇県△△市ではなく、××市でした。」 と、ご親切にも説明まで施してくれるのだが、
(役所が調べて訂正までするなら、最初から未記入でいいんじゃん! それ以前に、その欄や項目自体必要ないのでは?) とも思ってしまう。
不思議③
一人の人間の死亡を証明し、戸籍を抹消する大切な書類であるにも関わらず、書いた人以外の誰が代わりに行っても簡単に手続きができてしまう。他人である葬儀社でも委任状もなしに取れてしまうのだから。
印鑑だって、行きがけに100円ショップで買って行っても何の問題もなし。
「シャチハタはダメです」って言われるけど、そこじゃないだろっ!
ことほど左様に、極めて大切な書類が、極めて簡単に取れてしまうのだ。
内容に不備があろうが、未記入の項目があろうが、出しに行くのが他人だろうが、役所の戸籍住民課は
寛容だ。
葬儀屋のオヤジは、取れたての書類を、いつも首をかしげながら眺めている。