生活保護のお葬式 ~公費の性質
生活保護を受けられていた方が亡くなり、ご親族様からご葬儀のご依頼をいただいた。
アベノミクスとやらで景気回復と騒がれる一方で、6月時点で全国の生活保護の受給世帯数が158万世帯オーバーで、過去最高という現実があるのも確かだ。
生活保護受給者のご葬儀、意外と知られていない。
まず身寄りがない、所謂単身死亡の場合、受給者の住所を基準とする市や区、管轄の福祉事務所から201,000円(地域により若干異なる)が葬祭費として支給される。
これには火葬代、収骨容器代、寝台自動車による搬送料、ドライアイス代、棺代等、最低限のご火葬にかかる費用は全て含まれる。
福祉事務所から発行される『減額証明書』なる書類により、火葬代や収骨容器代などは減額されるが、それでも火葬するのに必要最低限の内容と金額である。
では家族や親族がいる場合は・・・基本的には葬儀にかかる費用は、極力ご家族様にご負担頂きたいと役所は言う。公費をなるべく使わないでね、というものだ。しかしご家族様のご負担は『義務』ではないので、これを拒否し、公費にて済ますことができる。
ご家族のご意向で、普通に通夜・告別式をしたいという場合は、当然公費201,000円ではまかなえない。
こうのような場合、仮に葬儀に100万かかったとして、そのうち公費を201,000円使えば、差額799,000円で葬儀ができるか・・・・・ 答えは 『NO』 である。
あくまでも公費は201,000円。これで火葬だけで済ませるか、この金額を超えて好きなように葬儀を出したいのなら、全額家族が負担するか、2つにひとつというのが決まりになっている。誤解を恐れずもっと平たく言えば、役所としては(祭壇飾ったり飲食する余裕があるならご自分たちで出して下さいな)というところだ。公費という性質上、やむを得ないと言えなくもない。
今回のご葬儀は、公費を使用されずに、故人である弟さん思いのお姉様方が仕切られ、金額をご負担された。 少人数だが、あたたかいお式だった。
生活保護受給世帯が増加しているということは、当然公費による葬儀も増えてくる、ということであろう。
火葬だけで済ませることが決して悪いということはない。お別れの形に決まりは無い。
ただ、公費に頼れば制約も大きい、ということだ。