和食考 ~お葬式の料理

この度ユネスコの無形文化遺産に『和食』が登録認定された。

一時食材の誤表示問題で認定が危ぶまれるといった噂もあったが、わが国にとっては大変嬉しいニュースである。見た目に美しく、食して美味なる『和食』は、今や世界中でも人気の料理だ。

通常お葬式では、お通夜に通夜料理、葬儀/告別式に精進落としを用意する。

我々葬儀社の人間は、打ち合わせの時に参列者のご人数を伺い、料理屋のパンフレットからお客様にお料理をお選び頂く。

一般的には、お通夜ではにぎり寿司を中心に煮物や揚げ物。精進落としはひとりずつの会席弁当。

選択肢の中には一品料理として中華素材のものや洋風の料理なども含まれるが、基本的にはずっと以前から『和食』である。  日本のお葬式だから、なのか。

葬儀屋の親父は、かつて京都・黄檗宗大本山 萬福寺という寺で『普茶料理』 を頂いたことがある。萬福寺は、インゲン豆でお馴染の隠元和尚の開山で、普茶料理は、そこで頂ける中国式精進料理だ。

また、同じく京都の大徳寺の『鉄鉢(てっぱつ)料理』という精進料理も頂いた。

仏教という宗教と『和食』は、昔から密接な関係であったことがわかる。

そもそも精進料理とは、殺生を禁じる仏教において、肉や魚の代わりに野菜などを使って作られる料理のこと。例えば『がんもどき』。鳥の雁の味に似せて作られたのが名前の由来とも。

お葬式の料理も、まだメニューの中に野菜だけの天ぷらの『精進揚げ』や、生魚を使わないかんぴょうやお新香などの巻き寿司が残っている。

が、普通の江戸前寿司が主流になっているのが現状だ。

余談ではあるが・・・

ところで僧侶は本当に肉を食べてはいけないのか。

実は『三種の浄肉』と言われる抜け道的な存在の肉がある。

一、自分の為に殺されたところを見なかった肉

一、自分の為に殺されたということを聞かなかった肉

一、自分の為に殺された疑いのない肉

以上の三種の肉であれば食べてよい、と。

つまり、スーパーで売ってる肉をはじめ、その他大抵OK、ということらしい(笑)。

そうだ、おせち予約しなきゃ。