静かなドライブ ~霊柩車のはなし
「ご霊柩はこれより〇〇火葬場へと赴かれます」
パーーーンッ(クラクション)
そして霊柩車は静かに走り出します・・・・。
よくあるご出棺の光景です。
で、この霊柩車。種類、たくさんあるんです。 当然料金も、15,000円ぐらいから50,000円ぐらいまで色々。
何がちがうの?
それは、屋根にお宮が載ってるタイプ、載ってないタイプ、はたまたベース車両がクラウンなのか、ボルボなのか、リンカーンなのかがちがうんです。
今のところ一番高いのは、ベースがキャデラックのタイプ。 コイツぁ、お宮が載ってても載ってなくても高い^^;。
もっとも、傾向として最近はお宮が載っていないタイプが主流です。もうほとんどこのタイプ。
みなさん、昔よく町で霊柩車を見かけると、親指かくしませんでしたか(笑)?
親が早死にするだの、縁起が悪いだの・・・
葬儀屋の親父、仕事で乗りますもんで、もはや隠しようもない。 もちろん助手席です。 運転は、霊柩車の会社のプロのドライバーさん。 霊柩車の助手席には、遺影や位牌をお持ちになったご遺族が乗りますが、その方たちがハイヤーやマイクロにお乗りになる場合、葬儀社のスタッフが乗るんです。
では葬儀社のスタッフがが乗り込んだ車内では、ドライバーさんとどのような話をしているのでしょう。
町で見かけると、割と神妙な面持ちで乗ってますよね^^
実際のところ、「久しぶりじゃないですかあ」 「今日、道混んでますねえ」・・・ 所謂、(最近どおよ)的な、他愛も無い話、してるんです。
霊柩車は、出発と同時に火葬場に無線を入れます。火葬場には、入ってくる霊柩車を管理する無線の事務所があり、予約されてる火葬炉(お釜)の時間と、霊柩車の現在地を無線で調整します。
ですので、出発してから、ルート上で決められた数箇所のポイントから無線を入れ、確認しながら火葬場へと向かうのです。ものすごーくゆーっくり走ってる時とか、着いたのに一回通過して周りを一周してから火葬場に入り直す時は、火葬場側から (ちょい早いから時間稼いでね) 的な指示が出た時ですね^^。
ついでに、火葬場の『10時のお釜』を予約していても、霊柩車移動がある場合、大抵の場合、10時ちょうどには入れません。
10時はあくまでも出棺時間。10時に出棺して火葬場に向かう → 10時20分ごろの到着 という時間計算で火葬場のお釜は準備されています。
出棺が早い分には上記のとおり調整すればいいのですが、お別れが押せ押せになって出棺が大幅に遅れると・・・実はこれが大変な問題に。 その時間そのご遺体に割り当てられたお釜はひとつだけ。次の時間のそのお釜には他の予約が入っています。
次の時間のお釜が空いてれば、少々遅れても火葬できますが、大抵空いてない^^
そのあとお釜があくまで延々と待つことに・・・。
その≪最悪の事態≫を避けるために、霊柩車のドライバーさんと火葬場の職員さんは大変な思いをして下さいます。
おかげで ≪最悪の事態≫ は、ほとんどありません。 ほとんど・・・。
町なかで見かける霊柩車に、こんな裏話があったりするんですね。